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静岡生まれ東京下町育ちのミニシュナの日常と里帰り


by nyarcil
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ノーベル文学賞をとってほしい作家、イスマイル・カダレ


どこの企業もそうですが、サイト主の会社も10月1日から新しい期がスタートしました。
サイト主としては今回は久しぶりに異動がなく、ほっとすると同時に気が抜けてしまいました。
なにせ去年7月から5回部署が変わって、変わるたびにもうバタバタ・・・(;´ρ`A)。

そんなバタバタのおかげで、この1年、仕事以外で読んだ本はたった1冊でした。

ということで、今回は文学のお話。
今年もノーベル文学賞に日本からは村上春樹がノミネートされたそうですが、サイト主の偏愛する作家、イスマイル・カダレも、今年もまたノミネートされていました。

ノーベル文学賞をとってほしい作家、イスマイル・カダレ_d0255522_01341750.jpg

アルバニアの作家 イスマイル・カダレ(Ismail Kadare)は、海外では「ノーベル賞を10回受賞しても不思議はない作家」と評されている作家で、2005年に創設されたブッカー賞の国際版、ブッカー国際賞の第1回受賞者でもあります。

イギリスのブックメーカー(賭け屋)の受賞者を予想するオッズで、村上春樹が1対6のオッズ2番手、イスマイル・カダレは8番手。

サイト主が最初に読んだイスマイル・カダレの小説は、『誰がドルンチナを連れ戻したか』。 
10年以上前に図書館で見つけて読みました。
中世アルバニアの民間伝承を題材とした死者と生者が交錯する不思議な話で、なぜか凄く惹きつけられて、次に同じ図書館にあった『砕かれた四月』を読んで、カダレの独特な世界に一層のめりこみました。

『砕かれた四月』のストーリィは: (ちょっとうろ覚えですが)
20世紀でありながら、古い因習に閉ざされたアルバニア高地にある村が舞台。 
「一族の誰かが殺されたら、相手一族の誰かを殺さなければならない」という掟があり、その絶対の掟のため、復讐の応酬が連綿と続いている村に生きる若者が主人公。
復讐のやりあいの中で死ぬことが定められている若者は、外地から来た人妻との一瞬の出会いから強く惹きつけられ、「村を出たい」と願うも村の掟は許さず・・・というお話。

今も覚えているのは、若者が沈痛な面持ちで空を見上げると、広い空のかなたを一機の飛行機が飛んでいた、いうところ。
中世の掟に生きる人々の上を、20世紀の技術を象徴する飛行機が飛ぶという、中世と現代の対比が非常に印象的なシーンでした。

図書館で借りて読んだ後どうしても手元に置きたくなり、しかしカダレの本は当時もすべて絶版になっていて、ネットで中古本で手に入れました。

現在『砕かれた四月』は、中古でもかなりの値段になっています。

ノーベル賞にノミネートされたことを知り、「もしカダレがノーベル文学賞とったら、ますます本が手に入れられなくなるかも」と、他のカダレ作品でまだ読んでいなかったものをネットで見つけ発注してしまいました。

イスマイル・カダレは現在79歳、生きている間にノーベル文学賞を受賞できるとよいのですが。
(村上春樹はそれに比べれば若いし、来年もありますよ)

ちなみにアルバニアという国は東欧にあり、バルカン半島の南西部、ギリシアの左上に位置しています。



Commented by inumochi at 2015-10-05 07:17
知らない作家でした。
さっそく図書館にリクエストしました。
今なら予約待ちなし。
手元に置きたいのに、絶版になり、古本でもなかなかでない本、ありますよね。
再版に踏み切るのは大変でも、せめてデジタル化してくれればいいのにね。
Commented by nekotama at 2015-10-05 10:32 x
私も初めて知りました。世界中にどれほど読んでいない作品があるのか。又、それらがとてつもなくすぐれた作品であっても出会えないこともあります。日本人は東欧文化がきっと合っていると思うのに、常に西欧よりですよね。音楽の世界でも私は東欧系のオーケストラが好きです。
Commented by nyarcil at 2015-10-06 00:29
inumochi様
あれ、休みの日に図書館の予約? と思ったら、今はネットで図書館の本の貸出予約できるんですか。
時代に取り残されているような・・・。 
inumochi様、読んでいただけたら嬉しいです。
今この作者の本をネットで調べたら、中古で2万円以上の本があったり。 これって、ノーベル賞効果を期待してなのかしらん。
inumochi様のお奨めのレアな本があったら教えてくださいな。
Commented by nyarcil at 2015-10-06 00:30
nekotama様
ショパンだってポーランドなら東欧ですよね。他はドボルザークくらいしか思いつきませんが、東欧って何となく土の匂いがするような親しみを感じます。
Commented by nobikunJ at 2015-10-06 18:57
私も知らない作家でした(ノーベル文学賞とは正反対の座標軸にある読書遍歴なものですから)。でも、面白そうな作家ですね。幻視感というか、こういう時間軸を超越したような小説は好きです。有名どころではガルシア・マルケスやトマス・ピンチョン、スティーブ・エリクソンなんかもそうですよね。すさまじい想像力に圧倒されます。
ああ~、読書はいいですよね。一日、何も気にせず読書に耽ることができたらどんなに幸せか・・・。
あ、私も村上春樹は「まだ早い」派です。
Commented by nyarcil at 2015-10-07 01:32
nobikunJ様
この1年で読んだ唯一の本は「アラン・チューリング伝 上」で、毎日ランチタイムに社食で30分読んでたのが、途中で検定試験受けるために中断して、それが終わって続きを読み始めたら、人の名前出てくるたびに「この人アラン・チューリングとどんな関係だっけ?」となってしまってました。 本読むならそれなりの環境と覚悟がないと難しいです。
トマス・ピンチョンの「スローラーナー」、昔買ったのが積読状態で何年もたってます。そんな本が多すぎて反省しきりです。
Commented by nekotama at 2015-10-21 14:28 x
ドルンチナ読みましたよ。
これから夢宮殿にとりかかります。
死者の軍隊の将軍も手元にあります。
これは間違えて2冊買ってしまいましたので、よろしければ差し上げます。
こういう世界って読んでいてもすごく引き込まれますね。人の根源には、いつも生と死が交錯する部分があって、どちらも切り離せない。結局ドルンチナはストレスの意識下が呼び戻したのではないかと、そんな印象を受けました。実はストレスはコンスタンチンの身代わりでは?・・・なんて、想像の翼はいくらでも広げられるところが面白かったです。
Commented by nyarcil at 2015-10-21 23:44
nekotama様
凄い! なんというかアクティブ!
さすが本物のアーティスト。
「死者の軍隊の将軍」ください! 丁度nekotama様のお送りしたいものがたまっていたので、その見返りで。
(それが何かはお楽しみ)
東欧って、なんか心惹かれるところがあるんですよね。
とにかく読んでいただいてありがとう!
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by nyarcil | 2015-10-04 01:48 | My Favorite | Comments(8)