夏休みの前に、相方シニアが韓国映画を見に行こうと言いだした。
「えっ、いまどき韓国映画? 整形ばっかりでしょ」 ´´(;´ρ`A)
全然乗り気でないサイト主。
ネットでどんな映画か調べてみるとちょっと面白そう。 見に行くのOKとしました。
ところが上映館を調べてみると、どこもシニアと一緒にいける時間帯ではやってません。
そうなると反対に見たくなるのがサイト主。 お盆休みに一人で見に行ってきました。
『怪しい彼女』、韓国で2014年旧正月に公開されて、ヒットしたコメティ映画です。
一言でいうと、74歳のおばあさんがある日突然20歳の女の子に変身して、歌の才能を認められてスポットライトを浴びることになる、ある意味シンデレラストーリー。
シンデレラと大きく違うのは、毒舌ないじわるばあさんが、口の悪さそのままで二十歳の女の子の姿になってしまうということ。
ストーリーを簡単に。
女手一つで息子を育てあげ大学教授にまでさせた、ということが大の自慢の、毒舌で言いたい放題のおばあさんのオ・マルスン。
毒舌が過ぎて、同居する気の弱い嫁がストレスで入院してしまい、息子と孫が自分を施設に入れようと話しているのを物陰で聞いて、さすがにシュンとしてしまう。
とぼとぼ街を歩いて顔をあげると、そこには「青春写真館」という看板。
店先に飾ってあるオードリーヘップバーンの写真に魅かれて、ふと中にはいります。
自分の写真を撮ってもらって写真館を出てくると、中身はそのまま、でも身体は20歳の若い頃のマルスンになっているのです。
バスに乗って周りの自分を見る目が変わっていることに気が付いて、乗客のミラーサングラスに映る自分の姿にびっくり。
(自分の変身に気が付いてびっくりしたときの表情、誰かに似ていると思ったら、珍獣に遭遇したときのイモトアヤコ。 イモトアヤコの目をぱっちりさせて可愛くした感じ)
皺のない白い肌の、ピチピチした若い女の子に変身した自分に驚いて、街行く人を捕まえて「自分は何歳に見えるか」と聞きまくって、やっと状況をのみ込むマルスン。
「こうなったら、若く生まれ変わった自分を楽しまなくっちゃ!」
意地悪ばあさん、開き直ると行動は早いです。
髪形や洋服を、憧れのオードリー・ヘップバーン風に変えて、名前もオ・ドゥリにして、以前の老人仲間で、マルスンを慕っていたパクじいさんの家に下宿人として入ります。
若くなったマルスン(ドゥリ)は、人生経験豊富だし、お金もクレジットカードもあるし、もう怖いものなし。
相変わらずの毒舌を撒き散らしながら、今までやりたくてもできなかったことを、どんどん実現させていきます。
ある日老人の集まる店のカラオケで歌を歌っていると、マルスンの孫息子がそれに聞き惚れ、自分のバンドのボーカルをやらないかとドゥリに声を掛けます。
自分の孫とデートすることになるマルスン。
マルスンは、二十歳の女の子ドゥリとして、孫のバンドで歌いはじめます。
もうノリノリ♪ ~(^◇^)/
ドゥリが歌うバンドがテレビ局のプロデューサーの目にとまり、大舞台に歌手として出ることになります。
ハンサムなプロデューサーに、恋の気持ちも芽生えます。
しかし、いずれ元のマルスンおばあさんにもどる日がきて・・・
とまぁ、こんなストーリー。
若いマルスン(=ドゥリ)役をやった女優さんは、子役あがりの演技派若手女優、シム・ウンギョン。 歌も上手いです。
サイト主が昔韓国語を勉強していたころの古いヒット曲がいくつも出てきますが、昔は演歌調で歌われていてピンとこなかった歌が、ヒロインがバラード風に歌うと、こんないい曲だったのかと思ったくらいでした。
(この映画を見た後、メロディが2日間ほど頭に残ってました、チョウニピガネリミョン~)
しっとりとした歌を歌っているときのドゥリ(マルスン)の脳裏には、昔の苦しかった時代の思い出、若くして夫をなくし幼子を抱えてたった一人苦労したころの思い出が、走馬灯のように流れて行きます。
回想シーンのなか、夫を弔うため、ひとり夫の遺骨を川に撒く、若き日のマルスン。このシーンでサイト主、「イモトちゃん、あんた苦労したんだね」とホロリ。
ヒロインは若い可愛い女の子の姿になっても、行動パターンも毒舌もおばあさんの時のまま。 歩く姿も猫背でガニマタ。
それが歌を歌いだすと一転、その歌声で人々を魅了します。
そのギャップが、面白くて、かつ痛快です。
パラソルだけは、マルスンのときから同じものです。
演出もいいです。 回想シーンで、若き日のマルスンが、雑踏の中でそっと落ちている菜っぱに手を伸ばすシーンで、いかに厳しい生活をしていたかがわかります。息子をかかえて女ひとり生きるためには、ときにひとに恨まれることもしなければならなかったのだと、見る人にさりげなく理解させます。
ドゥリが元のマルスンばあさんに戻る直前、マルスンの実の息子(中年の大学教授)と会話を交わすシーンがあります。ドゥリが自分の母親の変身した姿であることを悟った息子は、涙ながらに言います。
「幸せに生きてください、腐った野菜を拾って食べなければならないこともなく、僕のような親不孝者を息子に持つこともなく、幸せな人生を・・・」
(もうこのあたり、サイト主は涙ぼろぼろ ・゚・(つД`)・゚・)
そんな息子に、目に涙をためながら、いつもの毒舌口調で言うマルスン(ドゥリ)。「何言ってるんだ、次の人生も、またお前の母親になるんだよ!」
エンディングでは、ヒロインがおばあさんの姿に戻ったあと、最後にまた新たな展開があります。夢のある終わり方で、楽しい気持ちで見終わることができます。
サイト主は、最初マルスンおばあさんが毒舌まき散らすところから、すっかり映画にのめりこんでしまいました。
なぜって、今でも言いたいこと言うサイト主、年を取ったらもっと遠慮なくなって、こんな毒舌のおばあさんになっているに違いない。
(そう思う? でしょうねえ)
ちょっと自分の将来を見ているようで、はらはらしながら見てしまいました。
劇場で映画のエンドロールが流れるなか、まわりで「ああ、面白かった」と若い子が言うのが聞こえました。
それをきいて、多分若い子たちと、私たち中年以上の年代とでは、この映画の受け止め方がちょっと違うのだと思いました。
若い子には正直、若いころのマルスンの苦労や、ドゥリとの別れ際に息子が泣く気持ちはそれほど理解できないのではないかと思います。
ある程度人生経験を積んで、世の中の苦労や子供を育てることの難しさを知ってこそ、自分を育てた親の気持ちがわかり、より胸に来るのです。
コメディとしてよくできていて爆笑連続の映画ですが、ある程度の年代のひとが見ると、主人公たちに共感しながら、自分の人生を振り返ってちょっと考える、そんな映画です。
自分が将来、意地悪ばあさん・じいさんになりそうだと思う人は、特に必見。
ヾ(^-^;) キミキミ
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追記ですが、他のブログの映画評でちょっと驚くことが書いてありました。
この映画、韓国でヒットしたものの、期待されていたほどの大ヒットにはならなかったのだそうです。
その理由と言うのが、「ヒロインのドゥリ役の女の子がそれほど美人ではなかったから」。
やっぱりヒロインが美人じゃないと映画のヒットは難しい、とのこと。
マッタクカノクニトキタラ・・・ (ノ_-;)
まぁ確かにイモトの要素が入っているけど、それはないよね。
イモト、もとい、シム・ウンギョンちゃんに一言。
「絶対に整形なんかしちゃダメだよ! 今のままで十分可愛いし、その表情の多彩さと演技力でひとを感動させる才能をもっているんだから、整形なんてする必要は全然ないんだよ」
老婆心ですけどね。