今回は日本語と、ビッグデータについてのお話。
サイト主が今まで聞いたなかで最も秀逸だと思ったネーミングは、JR東日本の交通系ICカード『Suica(スイカ)』。
「改札でタッチ&ゴーでスイスイ通れる」とか、文字の中にICが入っているとか、ネーミングの由来はいろいろあるけれど、やっぱりアクセントからして日本語の「誰何(すいか)」も由来のひとつだと思われます。(「西瓜」とはアクセントが違います)
日本語の「誰何」の意味は辞書で引くと「相手が何者かわからないときに、呼びとめて問いただすこと」。
「守衛に誰何された」という文、山崎豊子『華麗なる一族』に出てきたのを覚えています。
改札やお店でカードをタッチするときに、この人はどこで乗ってどこで降りるのか、このカードにはいくらお金が入っているのか、(クレジットカード一体型になると)この人の与信情報は、などいろいろな情報がやりとりされています。
つまり「あなたは誰?」と聞かれて、こたえているわけです。
「Suica」とは、「誰何」の意味をかぶせた、そのものズバリのネーミングです。
これはコカコーラの中国語名「口可口楽」と同じくらい優れたネーミングだとサイト主は思ってます。
でもこの「誰何」という言葉、最近では知っている人の方が少ない。
サイト主が誰かに「Suicaって『誰何する』の意味もあるんだよね」と言っても、( ゚д゚ )ポカーン 、とされることが多くて、ほとんど死語に近いのかも。
しかもJR東日本のサイトで、Suicaの名前の由来を見ても「誰何」は出てこない。
これはなぜかと考えたとき、「あ、そうか」とちょっと思い当たることがありました。
***
しばらく前のことですが、サイト主は某有名ブランドV社のフライパンをamazonで見て「お気に入りリスト」に入れました。
そうすると翌日くらいに他のサイトを開くと、右側の広告枠にV社の「made in USAのものが50%オフ!」という広告が出てきて、「えっ?」(゚д゚lll)、と思いました。
amazonのサイトに戻って確認すると、自分がお気に入り登録したものが同じV社のものでも「made in China」であって、アメリカ製のものとは全然値段が違う安価なものだと知りました。orz
うーん、V社の中国製のものをamazonでお気に入りリストに入れると、その人のPCにV社の正規サイトからアメリカ製正規品の広告が配信される仕組みですかぁ。
「あなたがお気に入りリストにいれたのは、V社ブランドでもバッタものです」と言われているようで、ちょっと引いてしまいました。
「迷ったときは日本製」と決めているサイト主、V社のフライパンはやめて結局近所のホームセンターで「made in Japan」と書いてあるものを買いました。
***
こんな体験からわかるのは、私たちの買物履歴や嗜好の情報は、ネットにログインした状態でクリックした途端、どこかにビッグデータとして収集され分析されて、企業の販促に使われているということ。
さきのSuicaの話に戻ると、Suicaのカードを使った人の情報も、同じように収集されてビッグデータとして収集されているのです。
それによって、たとえば「首都圏郊外からJRを使って通勤する30代女性の購買行動」といったデータが、カード情報を集めることで得られるのです。
企業が「誰何(すいか)」という言葉を表にださないのは、改札やお店でカードをかざすとき「自分の情報がチェックされている」ということを使う人に意識させたくないからなのでしょう。
そういうことを気にせずスイスイ使ってほしい、ということです。
私たちがスイカを使ってピッと鳴った瞬間、実は使ったひとが「スイカされちゃっている」ということ、ちょっと知っておいていいかも。
飼っている犬の種類とか、愛犬のお気に入りドッグフードのブランド名とか、こんな情報もすでにネットのどこかに蓄積されているかもしれませんね。
僕は匿名希望です by ”モサ男”