香港映画『西遊・降魔篇』。 英語タイトル『Journy To The West』
2013年に香港の興行記録を書きかえた大ヒット作。日本でも公開されることになったそうです。
またしてもディスクを取り寄せて、一足先に英語字幕で見ました。
映画『少林サッカー』や『カンフーハッスル』で、最近はもっぱら監督として有名なチャウシンチー(周星馳)監督による、日本人にもお馴染みの「西遊記」を題材にした冒険ファンタジー映画です。
この記事を書くのに最初主人公が誰かを隠すべきかと思ったのですが、主人公の名前(玄奘)が字幕に出た途端日本人ならすぐ「三蔵法師」とわかってしまう。
だから言ってしまいましょう、この映画は若き日の三蔵法師の冒険譚。 孫悟空たちとの出会いから西域に行くまでのお話で、チャウシンチー監督の創作です。かなりコメディの部分もあります。
日本未公開の映画について書くときしんどいのは、あらすじをどこかからコピペしてくることができないこと。サイト主なりに書いてみます。
************<ストーリー>*************
昔々中国では魔物や妖怪がそこかしこにいて、人々の生活を脅かしていました。
若き蓬髪の僧、玄奘は、デーモンハンター(駆魔人)となって人々を魔物たちから救おうとします。
しかし師の教えは、魔物に対しては、倒すのではなく仏法で諭して改心させよというもの。
それで「児歌三百撰」(つまり童謡の本)を使って、魔物の中にある昔の汚れなき幼児の心を呼び戻して改心させようとするのですが、なかなかうまくいきません。
水辺の村を襲う魚の化け物(水妖、のちの沙悟浄)を倒し、水妖を元の人間の姿に戻すことに成功するものの、童謡を聴かせているところで賞金稼ぎの女デーモンハンター、デュンが現れ、水妖を引っさらっていきます。
がっかりして師のところに戻り、涙ながらに「他のデーモンハンターのように魔物を倒したい、それで人々を救いたい」と訴える玄奘。
そんな玄奘に、「魔物たちも元は善良な人間だったのが、人々に誤解されたり裏切られたりして殺されて、その恨みが魔物となったのだ」と、師は諭します。
玄奘は次に、山の中のレストランで豚の化け物(猪妖、のちの猪八戒)と出会いますが、またしてもデュンが現れて猪妖を横取りしようとします。
しかし猪妖は手ごわく、反対に猪妖に追いかけられ、2人は命からがら逃げ出します。
なぜか一緒に逃げる途中で、玄奘に恋をしてしまうデュン。
玄奘はデュンに迫られますが、「男女の愛など仏の大きな愛に比べれば大したものではない」と、デュンの求愛を拒絶します。
玄奘は再び師のもとへ行き、猪妖を倒す方法を尋ねます。
師から「孫悟空に会いにいきなさい、孫悟空は魔物のなかの王で猪妖を倒す方法も知っている」と聞き、ブッダ(仏陀)によって五指山の岩穴に幽閉されている孫悟空に会いにいきます。
五指山にたどり着き孫悟空に会った玄奘は、孫悟空から猪妖を誘い出す方法を聞き、玄奘を追いかけてきたデュンの手助けもあって猪妖をとらえることに成功します。
しかしその後玄奘は狡猾な孫悟空に騙されて、孫悟空をブッダの封印から解いてしまいます。
自由の身となった孫悟空の前に、3名のデーモンハンターたちが現れ、闘いを挑みます。
しかし彼らも魔物界の王である孫悟空の相手にならず、次々に倒されてしまいます。
(魔物の孫悟空、京劇のコスチューム姿で顔はかなりコワイです)
「ブッダなど何物でもない」と、傲慢に言い放つ孫悟空。
玄奘は、孫悟空に対してブッダの偉大さを説き、激高した孫悟空は玄奘に襲い掛かります。
デュンが玄奘を助けるため孫悟空と戦いますが、デュンも孫悟空に殺されてしまいます。
死ぬ間際のデュンに、玄奘はついに「愛している」と本心を告げるのです。
デュンを喪った玄奘は岩場に座し、お経を唱えはじめます。
すると岩山から巨大なブッダの姿が現れ、ブッダと孫悟空との最後の闘いが始まります。
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さて、この映画はストーリーが明快なので言葉がわからなくてもスイスイ見れます。
映画のなかで突然、あの日本の昔のドラマ「Gメン75」のテーマが流れて、思わずずっこけそうになりました。 こういうチャウシンチー監督のセンス、好きです。
3人のデーモンハンターたちの一人、空虚公子(プリンス・エンプティー)のキャラは秀逸。
空飛ぶ剣を自由に操る、白装束で死人のような姿のデーモンハンターです。4人のオバサンたちに花をふりまかせながら籠に乗って気取って登場しますが、オバサンに「空虚公子ではなくて腎虚公子(つまり不能?)でしょ」と言われてむきになったりして、笑えます。(この役を演じているのは羅志祥という有名なひとだそうです)
でもこの映画、日本人としてはちょっと違和感を感じてしまう点があります。
この映画では孫悟空は最初は人間の姿で出てきますが、それが頭の禿げた汚い中年男性の姿で、「えっ、これが孫悟空?」となってしまいました。 (゚Д゚)
このオヤジ姿の間の孫悟空は、デュンに身振り手振りで猪妖をおびき寄せるダンスを教えたりで、ふざけたキャラです。
それがブッダの戒めが解かれ魔物の姿に戻ると、残忍で凶暴な本性を現して情け容赦なく相手を倒していきます。(´゚д゚`)
これって、私たち日本人の抱く孫悟空のイメージ、「ワルでも、どこか憎めないいたずらっ子キャラ」とあまりに違っていて、「なんかなぁ」と思ってしまいました。
(´д`;)
それ以外は、スペクタクルCGあり、コメディあり、恋愛ありで、面白くて楽しい映画です。
仏の教えをとく師の言葉もなかなか奥深くて、なるほどと思いました。
香港での大ヒットを受けて、続編製作がつい最近決定したそうです。
三蔵法師と一緒に旅する孫悟空は、今度はどんなキャラで出てくるのか、興味があります。
できれば、チャウシンチー監督、今度は俳優でも出てほしいところです。